傾いた盃 |
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さぁ…
風が吹き抜けていく。 草の青々とした匂いが体中で感じられる。 暖かく穏やかな時間がゆっくりと過ぎていく。 「もう二時か…、四時間目には間に合いそうにないな。」 そう言って僕は再び芝生に横になった。 今日の時間割でいくと四時間目は体育か、それぐらいは出てもよかったかもしれない。 どの道今更言っても始まらないわけだが、頭を使わない分他の授業より楽に感じられるから体育は嫌いじゃない、というかむしろ好きだったりする。 そんなことを考えながら僕はまた睡魔に囚われていった。 ガキン… ころころ うがっ!いっ痛い…ものすごい痛い、一言で言うと「イテェェェ、腹が腹が……。」 突然のお腹への衝撃にパニックになり、何が起こったかわからなかった。 暫らくお腹を押さえて悶絶した。 どうやらさっきの金属的な音は何かがベルトのあたりに当たってなったらしい。 「…うう、何が僕を殺そうと?」 少し痛みが治まったので何が当たったか見てみると、すぐ傍に野球の硬球の球が転がっていた。 「………これか。」 どうやらこれが命を狙ってきたらしい。 「残念だったな、お前の捨て身の攻撃でも俺殺せなかったようだな!」 ボールを手に持ち勝ち誇ってみた。 「………あの~。」 「だがいい一撃だったぞ、気を抜いてたらやられていたかもしれん。」思いっきり寝ていたがな。 「……あの~すいません。」 「今日からお前は俺のライバルだ。」 「うう、聞いてくださいよ。」 そろそろかわいそうになってきたので相手をしてやることにした。 「で、君はさっきから呼んでるけど何か用でもあるの?」 「いいです、ボールと仲良く話しでもしててください。」 どうやら少しからかい過ぎてしまったらしい。拗ねてしまった様だ。 「まぁまぁ、そう言わずに何か用があるのなら話してみなさい。」 「はぁ、そこまで言うなら話してあげます。」 「うん、どうぞ。」 「さっきのボール返して下さい。」 なんら悪びれた様子のなく言ってきた。
by spectator1
| 2005-05-09 23:07
| 小説
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