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傾いた盃


不安定が止まりません。感想などくれるとうれしいです。製作者 明
by spectator1
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雨ふり

ポツポツ
どうも雲行きが怪しいと思っていたら、腕に雨が数滴当たってきた。せめて自分が家に帰るまで降らないでほしい、そんなことを考えていると雨脚がどんどん強くなってきた。             どうにも世の中は自分に都合のいいように出来てはいないらしい。
「ついてない…。」ぼそりとそんな事をもらした。
バシャバシャ
取り敢えず走りながら雨宿りをする場所を探した。
景色が雨によって霞んでよく見えない。
それでも何とか雨をしのげそうな場所を見つけ、その軒下に入った。
ザアー
ますます雨脚が強くなってきた。
「本当ついていないや…。こんな日に限って傘を家に忘れるなんて。」
なんだか今の天気と同じような気分になってきてしまった。
 濡れたままじゃ気持ち悪かったので、濡れた髪と服をハンカチで拭いていった。何回も何回もハンカチを絞っては拭いて絞っては拭いた。やっとのことでそれなりにまともな感じになった。
「ふー、しかしいつになったら止むんだよ、この雨は。」
 雨は全然止む気配がなく、手持ち無沙汰になってしまったので、僕はさっきまで確認する余裕もなかった自分の雨宿りをしている場所を、よく見てみることにした。
 そこは古びた家で、庭の荒れ具合からすると、空き家のようだった。
 辺りにはザアザアという雨の音に混じってトントンとトタンの屋根に雨の当たる音が響き渡っていた。
「うわっ。」
 急に横風が強くなり始め、再び僕の服を濡らし始めた。せっかく拭いたのにこのままじゃまた濡れ鼠になってしまう、そう思って僕は家の中に入ることにした。
 こんこん こんこん
「誰かいませんかー?」何の返事も返ってこなかった。
「すいません、雨が止む間だけ玄関でいいので入れてください。」僕は出来るだけ大きな声で言ったのだが、やはり返事は返ってこなかった。
「やっぱり空き家なのかな?」そう思って僕は扉に手を掛けた。
ガラガラガラ
扉に鍵はかかっていなくて、意外にあっさりと開いた。
少し入るのを躊躇ったが、このままじゃまたずぶ濡れになるので、おじゃましますと言って僕は玄関まで勝手に上がって行った。  
玄関には埃が積もっており、少しかび臭かった。
さらにその家は玄関どころか、その奥に見える部屋さえも真っ暗だった。
「やっぱり空き家みたいだな、そうでなきゃ鍵を開けたまま留守にするになんてしないからな。それに人の生活してる匂いもしないし……。」
取り敢えず、雨風のしのげる場所は確保できた、僕はそう思い安堵した。
「ふー、雨が止むまでここにお邪魔するしかないか。」
僕は玄関に積もっている埃を払い座った。家の中は驚くほど静かだった。暫らく僕は雨の音に耳を傾けていた。
突然、ガタン!と何かが動く音がした。
「えっ…、だっ誰かいるんですか?」
ひょっとしてここは空き家じゃないんじゃないのかという思考が僕の頭の中を駆け巡った。
しかし、やはり誰からも返事はなかった。きっと鼠だろうと僕は無理やり納得することにした。
するとまた、ガタガタン!と奥の部屋からさっきよりも大きい音が響いた。
「絶対に聞き間違いじゃないよな…、それに鼠にしちゃ音が大きいし…。」
僕は怖かったが、音の原因が知りたいという好奇心に駆られ、そっと見に行くことにした。
「確か奥の部屋から音はしたよな。」
僕は暗闇の中を壁伝いにどんどん奥の部屋に歩いていった。
ミシミシと一歩歩くごとに床が軋んで嫌な音を立てていた。奥に行けば行くほど暗さは漆黒に変わり、周りの温度がどんどん寒くなっているような気がした。
ミシミシという足音と、自分の鼓動のドクンドクンという音が、やけに大きく聞こえてくるように感じた。
なんだか自分がどのくらい奥まで歩いたのかわからなくなってきた。
「ん?」自分の右手に扉だと思える感触があった、どうやらここが終着点らしい。
なんとなくここまで来た記念に扉にカッターナイフで×印を付けた。
ここまで一直線だったので恐らくここから音がしたのだろう。
ごくっ、知らず知らずのうちに僕は唾を飲み込んでいた。その音さえやけに大きく聞こえた気がした。
どうやら情けないことだが怖気づいてきたようだ。
それでもここまで来てしまった手前、今更引き返すこともできないような気がした。
僕は、覚悟を決めて一気に扉を引き開けた。
ガタガタガタン!
ドアを開けた途端、何かが、よくわからない白い何かが僕に向けて一気に躍り出てきたような気がした。
「うひゃあっ!」
僕は、すぐに扉を閉めると一目散に今来た道を戻り始めた。
「はぁはぁ…。」おかしい、何かおかしい。
いくら走っても玄関がまったく見えてこない。いや、それどころか、自分が本当に玄関に向かって走っているのかさえわからなくなってきた。
「さっき通ったとき、この廊下はこんなに長くなかったのに。」
僕は段々焦りを募らせていった。
それでも後ろを振り返らず走って行った。
「あんな所に扉がある。」
僕は目の前に見えてきた扉に安堵した。取り敢えず違う場所に行けると思ったからだ。                       
そしてその扉に手を掛け引いた。
その瞬間ふと思った。来る途中こんな所に扉なんてあっただろうかと。そして僕は見てしまった。その扉につけられている×印を、  
僕がさっきつけたのと、まったく同じ×印を。
僕は慌てて扉を閉めようとした。
ガッ!
それよりも素早く、部屋の中から出てきた白い手のようなものが僕の手を掴み、そして中に僕を引きずり込んだ。
そして僕は見てしまった。その白っぽいものを、目の前で。
「……………っ!」
僕は恐怖のあまり悲鳴さえ出せずに竦み上がった。
その冷たさ、そのおぞましさ、その存在そのものに僕は恐怖した。
そして僕はそのまま気を失ってしまった。

カァカァ
「……ん。」
カラスの鳴き声で、僕は目を覚ました。
僕は、はっとして飛び起き周りを見回した。
もうあの白っぽいものはいなかった。
そして僕は自分のいる場所に驚いた。そこは玄関だったのである。しかも一番初めに入って座った、そのままの場所だった。
奥の部屋の方を見てさらに驚いた。
まったく足跡がついてなかったのである。一面に埃が積もった、そのままだった。
僕は怖くなり一目散に家を出た。
空を仰ぎ見るともうとっくに雨はあがっており、空は赤い夕日に覆われていた。
家に帰る途中であれは夢だったのかもしれないと思った。
でもあの手に掴まれた時の冷たい感触とうっすらと残った手形が、僕にあの時のことが夢ではないと告げていた。
アレが何だったのか?いくら考えても答えが出なかったので、僕はアレについて考えるのを止めた。
そして赤い空の下を震えながら帰った。

今でも雨が降るとあの日の出来事を思い出してしまう。あの雨の日の恐ろしい体験を。






終わり方がしりつぼみなのはいつものこと
内容がぐだぐだなのもいつものこと
ダメだ自分orz
by spectator1 | 2005-06-19 23:19 | 雨ふり
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