傾いた盃 |
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朝、それは一日の始まり。眠っていたものが起き、活動を始める。
僕もそんな例に漏れず目を覚ました。 時間は7時少し前、今日は目覚ましがなる前に起きてしまった。 まあ早く起きるに越したことはないので別にいいんだけど。 僕はベットから出て背伸びをするとリビングに向かった。 リビングではすでに両親が朝食を取っていた。 「おはよう」 「ああ、おはよう」 簡単に朝の挨拶を済ませると、僕は自分の席に座って朝ごはんを食べ始めた。 「そういえば」 「何だ?」 「竹ちゃんのおばさん何か言ってた?」 「ああ、いつもすまないだそうだ」 ……またか、ちなみに竹ちゃんというのは隣の家に住む保育園からの付き合いである同い年の女のこのことである。世間一般で言うところの幼馴染という関係である。 小さい頃から朝が弱くおばさんが朝早くから仕事にいく場合はいつも僕が替わりに起こしている。 「ごちそうさま」 「頑張れよ」 「了解、じゃ行って来るよ」 家の会話はいつも短い、不自由はしてないからいいんだが。そんなことを考えながら僕は隣の家に向かっていった。鍵はいつものところ、僕はすばやく鍵を開けると二階の竹ちゃんの部屋に向かっていった。 部屋に入る前に深呼吸をする。特に意味はないけど気分の問題だ。 「お邪魔しま~す」 ベットの上を見る。しかしそこに竹ちゃんはいなかった。 一瞬竹ちゃんが自分で起きたんじゃないのかという淡い希望がわいたが、それはベットの隙間から聞こえてきた苦しそうな寝息で吹き飛んだ。 なんてことはない。竹ちゃんはベットの隙間に落ちていたのだ。しかしなんでそれでも起きないのか不思議でしょうがない。こんなのがお隣さんだと思うと正直悲しい。 でも今はその悲しさに浸っているときじゃない。そんなことをしていると遅刻してしまう。気を取り直すと、隙間に落ちた竹ちゃんを引っ張り出して起こそうとした。しかし竹ちゃんの抵抗が思いのほか強く結局起こすのに二十分もかかってしまった。 「何でもっと早く起こしてくれなかったのよ!?」 「だからちゃんと起こしたんだって」 「もうまた時間ぎりぎりじゃない」 「だから、僕のせいじゃ……」 「うるさい!」 なぜか殴られてしまった。本当、世界は理不尽である。
by spectator1
| 2005-11-01 22:53
| 小説
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